夜、寝ている時に顔の上で何かが動く感覚ほど、不快で恐ろしいものはありません。それがゴキブリだった場合、パニックになってしまうのも無理はないこと。
この記事では、まずゴキブリの行動パターンを解き明かし、顔の上に登ってくる理由を徹底的に解説。また、そもそもゴキブリを引き寄せる条件とは何なのか、特に顔に来やすい種類がいるのかどうか、そして食品やエサとの関連についても深掘りしていきます。
万が一の事態に備え、冷静に対応するための対処法と厳禁な行為、さらには二度と悪夢を繰り返さないための効果的な駆除方法も紹介。そして、自分での対策が難しい場合の業者への相談や害虫駆除サービス活用に至るまで、網羅的に情報を提供します。
この記事を最後まで読めば、ゴキブリに対する恐怖を知識で乗り越え、安心して眠れる環境を取り戻すための具体的な一歩を踏み出せるはずです。
本記事の内容
- ゴキブリが人の顔に登る原因と習性
- 顔に来た時の正しい対処法とやってはいけないこと
- ゴキブリを寄せ付けないための具体的な予防策
- 状況に応じた効果的な駆除方法と業者の選び方
ゴキブリが顔に来る恐怖!その原因と生態

寝てる時に顔の上に登ってくる理由

寝ている時にゴキブリが顔の上に登ってくるのは、決して偶然ではありません。彼らの習性と人間の睡眠中の状態が、不幸にも合致してしまうために起こると考えられます。
ゴキブリが活動するのは主に夜間。彼らは非常に臆病で警戒心が強い生き物なので、人間が活動している昼間は物陰に潜んでいます。そして、家全体が静まり返り、人間が無防備になる就寝中を、絶好の活動時間と捉えるのです。
加えて、ゴキブリは優れた嗅覚を持っており、わずかな匂いにも敏感に反応します。人間が睡眠中に吐き出す息に含まれる二酸化炭素や、人の体温、口元や皮膚のわずかな湿気は、彼らにとって強力な誘引物質となります。特に、食べ物の匂いが残っている場合は、より引き寄せられやすくなります。
つまり、ゴキブリは「安全な時間帯」に「魅力的な要素」を求めて活動した結果、たまたま人間の顔の上にたどり着いてしまう、というわけです。
決して人を襲おうとしているわけではありませんが、遭遇してしまった側にとってはたまったものではありません。
顔に来た時の対処法と厳禁な行為

万が一、寝ている時に顔にゴキブリが来た場合、パニックに陥るのは当然。しかし、誤った対処は状況を悪化させる可能性もあります。冷静に、かつ迅速に行動するための正しい対処法と、絶対にやってはいけない厳禁な行為を解説します。
正しい対処法
- 静かに距離を取る: まずは驚いて大声を出したり、激しく動いたりするのを堪えます。ゴキブリを刺激せず、そっと手やティッシュペーパーなどで顔から払い落としましょう。
- 逃げた先を確認: 払い落としたゴキブリがどこへ逃げたか、可能な限り目で追います。見失ってしまうと、その後の駆除が困難になります。
- 殺虫剤で駆除: 逃げた先を確認できたら、殺虫スプレーで確実に仕留めます。即効性のあるピレスロイド系のスプレーが有効です。
- 顔を洗う: ゴキブリが這った顔や手は、石鹸を使って丁寧に洗いましょう。ゴキブリは様々な病原菌を媒介する可能性があるため、清潔にすることが大切です。
厳禁な行為
- 素手で叩き潰す: ゴキブリを顔の上や近くで叩き潰すのは絶対に避けてください。体内の細菌や卵が周囲に飛び散り、衛生上のリスクを高めます。
- 見失ったまま放置する:「とりあえずいなくなったから」と放置するのは最も危険。その一匹がメスであれば、家のどこかで産卵し、大量発生の原因になりかねません。見失った場合は、毒餌剤やくん煙剤の使用を検討する必要があります。
突然の出来事で冷静さを保つのは難しいかもしれませんが、正しい知識を持つことが、被害を最小限に食い止めるための第一歩となります。
効果的な駆除方法

ゴキブリを駆除するためのグッズは多種多様ですが、それぞれの特徴を理解し、状況に応じて使い分けることが効果を高める鍵となります。
毒餌(ベイト)剤
設置型の駆除剤で、ゴキブリが好みそうな場所に置いて使います。
- メリット: 置くだけで手軽。食べたゴキブリが巣に戻って死に、その死骸やフンを仲間が食べることで、巣ごと駆除できる連鎖効果(ドミノ効果)が期待できます。死骸を直接見なくて済むことが多いのも利点です。
- デメリット: 効果が現れるまでに時間がかかります。即効性はありません。
- 設置場所: キッチンの隅、シンク下、冷蔵庫の裏、洗面所など、暗くて暖かく、湿気のある場所が効果的です。
粘着トラップ
強力な粘着シートでゴキブリを捕獲するタイプです。
- メリット: 物理的に捕獲するため、薬剤を使いたくない場所(食品庫など)や、ペットや小さいお子さんがいる家庭でも比較的安心して使えます。どれくらい捕獲できたか視覚的に確認できるため、生息状況の把握にも役立ちます。
- デメリット: 死骸の処理を自分で行う必要があります。捕獲できるのは通りかかった個体のみで、巣ごと駆除する効果はありません。
くん煙・くん蒸剤
部屋全体に殺虫成分を行き渡らせ、隠れているゴキブリをまとめて駆除する方法です。
- メリット: 部屋の隅々まで薬剤が届くため、家具の裏や隙間に潜むゴキブリにも効果があります。一網打尽にできる高い駆除力が魅力です。
- デメリット: 使用前の準備(食器や食品の保護、火災報知器のカバーなど)と、使用後の換気・掃除が必要です。ペットや植物は室外に出さなければなりません。
また、卵には効果がないため、卵が孵化する2~3週間後にもう一度使用するとより効果的です。
これらの駆除方法を組み合わせることで、より確実なゴキブリ対策が可能になります。
駆除方法 | メリット | デメリット | こんな時におすすめ |
毒餌(ベイト)剤 | ・巣ごと駆除が期待できる ・設置が手軽 ・死骸を見ずに済むことが多い | ・即効性がない ・効果が出るまで時間がかかる | 巣に潜むゴキブリごと退治したい場合 |
粘着トラップ | ・薬剤不使用で安心 ・捕獲状況が目で見てわかる | ・死骸の処理が必要 ・巣の駆除はできない | ゴキブリの通り道や生息数を調査したい場合 |
くん煙・くん蒸剤 | ・部屋中のゴキブリを一網打尽にできる ・隠れている個体にも有効 | ・使用前後の手間がかかる ・卵には効果がない | 大量発生してしまったゴキブリをリセットしたい場合 |
家具や隙間・室内の掃除と環境改善による予防

ゴキブリ対策において最も重要かつ根本的なのは、駆除よりも「予防」です。ゴキブリが住みにくい環境を日頃から作ることで、彼らの侵入と繁殖を防ぎます。ポイントは「エサを与えない」「水を与えない」「隠れ場所を与えない」の3つ。
エサを与えない
- キッチンの清掃: 食べ物のカスや油汚れは、こまめに掃除します。調理後はすぐに片付け、生ゴミは蓋付きのゴミ箱に捨てましょう。
- 食器の放置禁止: 使用済みの食器を長時間放置すると、ゴキブリの格好のエサ場になります。
- 食品の管理: 乾物や調味料なども密閉容器に入れて保管することが大切です。
水を与えない
- 水回りの拭き取り: 就寝前にシンクや洗面台、浴室の水滴を拭き取る習慣をつけましょう。ゴキブリは水一滴でも数日間生き延びることができます。
- 水漏れの修理: 排水管などからの水漏れは、ゴキブリにとって最高の水飲み場と湿気を提供します。速やかに修理してください。
隠れ場所を与えない
- 整理整頓: ゴキブリは狭い隙間を好みます。不要な段ボールや新聞紙、雑誌などを長期間放置しないようにしましょう。特に段ボールは保温性が高く、隙間も多いため、格好の巣になります。
- 侵入経路を塞ぐ: エアコンのドレンホースの先端に防虫キャップを付けたり、換気扇にフィルターを設置したり、壁のひび割れや配管周りの隙間をパテで埋めたりすることで、外部からの侵入を物理的に防ぎます。
わずか数ミリの隙間でも侵入可能なので、徹底的に塞ぐことが重要です。
日々の地道な掃除と環境改善が、ゴキブリのいない快適な住まいを維持するための最も確実な方法です。
業者への相談や害虫駆除サービスの活用

自分であらゆる対策を講じてもゴキブリが繰り返し出没する場合や、チャバネゴキブリのように繁殖力が非常に強い種類が住み着いてしまった場合は、プロの害虫駆除業者に相談することを強く推奨します。
プロに依頼するメリット
- 専門的な知識と技術: プロはゴキブリの生態を熟知しており、発生源や巣の場所を的確に特定し、根本的な原因から駆除を行います。
- 効果の高い薬剤の使用: 市販されていない、より効果の高いプロ専用の薬剤や機材を使用して駆除にあたります。薬剤抵抗性を持つゴキブリにも対応可能。
- 再発防止策の提案: 駆除作業だけでなく、ゴキブリが再発しないための侵入経路の封鎖や環境改善に関する具体的なアドバイスももらえます。
- 安全性と手間: 面倒な準備や後片付けも不要で、安全に配慮した施工を行ってくれます。精神的な負担からも解放されます。
業者を選ぶ際のポイント
- 実績と評判: ホームページで施工実績を確認したり、口コミサイトで評判を調べたりしましょう。
- 無料調査・見積もり: 事前に無料で現地調査や見積もりを行ってくれる業者を選びましょう。作業内容や料金の内訳を明確に説明してくれるかが重要です。
- 保証制度: 施工後にゴキブリが再発した場合の保証制度があるかどうかも、信頼できる業者を見極めるポイントになります。
費用はかかりますが、ゴキブリによるストレスや健康被害のリスクを考えれば、プロに依頼することは有効な投資と言えます。手に負えないと感じたら、無理をせず専門家の力を借りるのが賢明な判断です。
ゴキブリが顔に来ない家にするための完全対策

なぜ顔に?ゴキブリを引き寄せる条件とは

ゴキブリが特に顔や皮膚に引き寄せられるのには、彼らが生きる上で求める「3つの条件」が深く関係しています。
第一に「温度」。ゴキブリは暖かく湿った場所を好む昆虫。人間の皮膚、特に睡眠中の顔周りは、体温と呼気によって常に暖かく、適度な湿度が保たれています。これはゴキブリにとって、非常に快適な環境と言えます。
第二に「エサの存在」です。ゴキブリは雑食性で、人間の食べかすはもちろん、フケや垢、剥がれ落ちた皮膚、髪の毛さえもエサにします。
就寝前に付着したわずかな食べ物の粒子や、皮膚の油分なども、嗅覚の鋭い彼らにとってはご馳走に感じられる可能性があります。
第三に「隠れ場所としての魅力」。ゴキブリは狭い隙間を好む習性があります。これは、外敵から身を守るための本能的な行動です。布団の中や髪の毛の間などは、彼らにとって格好の隠れ場所となり得ます。
これらの条件が揃うことで、ゴキブリは無意識のうちに人間の体、とりわけ顔や皮膚を目指して接近してきます。彼らにとっては生存戦略の一環ですが、人間にとっては恐怖以外の何物でもないのが実情です。
ゴキブリの行動パターンと生態

ゴキブリの基本的な行動パターンと生態を理解することは、彼らがなぜ顔や体を這うのかを知る上で非常に重要です。
まず、ゴキブリは「夜行性」であり、光を嫌います。日中は冷蔵庫の裏や家具の隙間といった、暗くて狭い場所に潜伏し、夜になるとエサや水を求めて活動を開始。このため、人間との遭遇は必然的に夜間に多くなります。
次に、彼らは壁や床の隅、家具の縁など、何かに体を接しながら移動する「接触走性(接触趨性)」という習性を持っています。
これは、常に周囲の状況を把握し、危険を察知しやすくするための行動です。布団の中や体の表面を移動する際も、この習性が働いていると考えられます。
また、ゴキブリの移動能力は驚異的です。1秒間に自身の体長の約50倍もの距離を移動できるとされ、人間のスケールに換算すると時速300kmを超えるスピードに相当します。危険を察知した際の逃げ足の速さは、この能力によるものです。
そして、ゴキブリは「集合フェロモン」を糞から分泌し、仲間を呼び寄せます。一匹が安全で快適な場所を見つけると、フェロモンによって他の個体も集まり、集団で生息する傾向があります。
家の中で一匹見かけると、他にも多数潜んでいる可能性が高いのはこのため。これらの生態が、夜間の室内での遭遇、そして顔や体を這うという恐怖体験につながるのです。
顔に来やすいゴキブリの種類と見た目の違い

日本国内の家屋で一般的に見られるゴキブリは数種類いますが、遭遇頻度が高いのは主に「クロゴキブリ」と「チャバネゴキブリ」です。これらの特徴を知ることで、対策も立てやすくなります。
項目 | クロゴキブリ | チャバネゴキブリ | ワモンゴキブリ |
大きさ | 25mm~40mm程度 | 10mm~15mm程度 | 30mm~45mm程度 |
色・見た目 | 全身が光沢のある黒褐色 | 黄褐色で、胸部に2本の黒い線 | 全体的に茶褐色で、胸部に黄白色の輪紋様 |
主な生息場所 | 屋外・屋内両方。台所、下水、植木鉢周辺など。 | 屋内。飲食店やビルに多く、暖房された建物に多い。 | 屋内。下水道やビル、暖房設備のある暖かい場所。 |
飛行能力 | 高い。長距離を飛んで侵入することも。 | ほとんど飛ばない。滑空する程度。 | 高い。飛んで移動することがある。 |
特徴 | 日本の家屋で最も一般的に見かける大型種。 | 繁殖力が非常に高く、世代交代が速い。薬剤抵抗性を持つ個体も。 | 日本のゴキブリで最大級。不潔な場所を好む。 |
一般家庭において、寝ている時に顔に来る可能性があるのは、主にクロゴキブリです。彼らは屋外からも飛来して侵入し、家の中のあらゆる場所に潜む可能性があります。
一方で、飲食店などで問題になることが多いチャバネゴキブリは、一度住み着くと爆発的に繁殖する厄介な存在。もし家の中でチャバネゴキブリを見かけた場合は、すでに多くの数が潜んでいる可能性を疑う必要があります。
顔まわりに来やすい時期と食品やエサとの関連

ゴキブリが顔まわりに接近しやすいのには、活動が活発になる「時期」と、彼らを引き寄せる「エサ」が密接に関係しています。
ゴキブリの活動が最も活発になるのは、気温と湿度が上昇する夏場(6月~9月頃)。気温が25℃を超えると繁殖活動がピークに達し、卵の孵化から成長までのスピードも速まります。
この時期は、屋外にいたゴキブリもエサや快適な住処を求めて、積極的に屋内に侵入してきます。
また、ゴキブリを屋内に引き寄せる最大の要因は「エサの存在」。彼らは驚くほどの雑食性で、人間が食べるものはもちろん、以下のようなものまでエサにします。
- 調理くず、食べこぼし
- 生ゴミ
- ペットフード
- 油汚れ
- 人間のフケ、垢、髪の毛
- 本の糊や壁紙
- 仲間の死骸や糞
特に、キッチンに放置された食べ物や生ゴミの匂いは、ゴキブリを強力に誘引します。シンクに残った水滴一つでも、彼らにとっては貴重な水分補給源。
就寝前にキッチンの片付けやゴミの処理を徹底し、エサとなるものを断つことが、ゴキ-ブリを寄せ付けないための基本であり、最も効果的な対策の一つと言えます。
脱皮殻やフン等、害虫駆除の視点から見る注意点

ゴキブリの姿を直接見ていなくても、その「痕跡(ラットサイン)」を見つけることで、彼らが室内に潜んでいることを察知できます。害虫駆除の観点から、特に注意すべき痕跡は「フン」と「卵鞘(らんしょう)」、そして「脱皮殻」です。
フン
ゴキブリのフンは、彼らの巣や通り道となっている場所の手がかりになります。
- クロゴキブリのフン: 1~2.5mm程度の黒い粒状です。台所の隅や棚の中、シンク下などで見つかることが多いです。
- チャバネゴキブリのフン: 1mm以下の、より細かくサラサラした黒い点状の汚れとして現れます。電化製品の周辺や、壁と家具の隙間などに見られます。
フンはゴキブリの集合フェロモンを含み、仲間を呼び寄せる原因にもなるため、見つけ次第、掃除機で吸い取るか拭き取るなどして速やかに除去する必要があります。
卵鞘(らんしょう)
卵鞘は、複数の卵が詰まった硬いカプセルのようなもの。これが一つあるということは、近い将来、数十匹の幼虫が孵化する危険性を示唆しています。
- クロゴキブリの卵鞘: 10mm程度の小豆のような形で、黒褐色をしています。
- チャバネゴキブリの卵鞘: 5mm程度の米粒より少し大きい形で、茶褐色。メスは孵化直前までお尻につけています。
卵鞘は殺虫剤が効きにくいため、見つけたら物理的に潰して処分するのが確実です。
これらの痕跡は、ゴキブリの存在を知らせる重要なサインです。定期的に点検し、早期発見・早期対処に努めることが、大量発生を防ぐ鍵となります。
二度とゴキブリが顔に来ないための総まとめ
この記事で解説した、ゴキブリが顔に来る悪夢を二度と繰り返さないための重要なポイントを以下にまとめます。
- ゴキブリは夜行性で、人が寝静まった頃に活動する
- 人の呼気に含まれる二酸化炭素や体温がゴキブリを誘引する
- 顔や皮膚の湿気、フケや垢もエサとして認識される可能性がある
- 暖かく湿気があり、暗くて狭い場所を好んで潜伏する
- 家庭でよく見るのはクロゴキブリやチャバネゴキブリ
- 顔に来た時はパニックにならず、静かに払い落とし駆除する
- 顔の上で叩き潰すのは細菌が飛散するため絶対に避ける
- ゴキブリ対策の基本は「エサ・水・隠れ家」を断つこと
- キッチンの生ゴミや食べかすは、その日のうちに処理する
- シンク周りの水滴は就寝前に拭き取る習慣をつける
- 不要な段ボールや紙類は溜め込まずに処分する
- エアコンのドレンホースなど、外部からの侵入経路を塞ぐ
- 毒餌剤は巣ごと駆除する効果が期待できる
- くん煙剤は隠れたゴキブリを一網打尽にするのに有効
- 自力での駆除が困難な場合は、迷わずプロの業者に相談する








